2018/05/17

【後編】Pairsカスタマーケア執行役員 安信氏が目指す、今後のCS業界の未来とロールモデル

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前編の記事では、CSをインハウス化し、24時間265日オペレーター常駐体制で対応している理由や背景。Pairsとカスタマーケアが目指すユーザーとの関係性。エウレカが従業員満足度に力を入れる理由や顧客接点に必ずCSを同行させる狙いなどをお話しして頂きました。

今回の記事では、安信氏が考えるCSを拠点としたキャリアの築き方の実現についてや、エウレカが求める人物像。評価のための基準や他ではあまり見かけない評価への取り組み。エウレカが安心・安全に力を入れている理由などをお話しして頂きました。続けて後編の記事もご覧ください。

CSを拠点としたキャリアの築き方を実現したい

藤本
経営に近くなり、1年後や3年後にどのような組織体に変えていこうと思っているのか、ぜひ新執行役員としてのお考えを聞いてみたいです。

安信
CS起点で色々な職種・ポジションにチャレンジできると思うんです。例えば、ユーザーと近かったからこそプロダクトが目指す理想のUXが理解できて、そのプロダクトマネージャーをやりたいということもあり得ると思っています。

そういったCS起点の新たなキャリアの築き方みたいなものも、エウレカで実現できたら良いなと考えています。CSの人はずっとCSだけにいるというケースが多いじゃないですか。弊社のCSメンバーがそこに挑戦する時は、いつでも背中を押す存在でありたいですし、実現できることだと思っています。

藤本
CSのキャリアって、悩んでいる人が何となく多い気がします。どう自分が収入面や権限を増やしていくのか、というロールモデルとなるところが無くて悩んでいる人が多いと思うので、ぜひエウレカさんにはロールモデルを作って頂きたいですよね。

安信
そうですね、作っていきたいです。あと、やりたいことで言うとCSの中にエンジニアがいたり、デザイナーがいても良いんじゃないか、ということを考えたりしますね。

藤本
CSの中に専属でエンジニアを付けているというパターンはたまに聞きますね。本職という言い方は変ですが、不具合なのか仕様なのか分からないところを、より技術的な目線から検証するなど、障害対応としてエンジニアに依頼する前にCS内で完結できるようにするとか。

大塚
やっている業務や把握されている業務の領域が広いですからね。
もともとCSをされている方はどのような経歴の方が多いのでしょうか?

安信
弊社ではCS経験者が多いです。特に、投稿監視のモニタリングの内製化は経験者がメインですね。

入社のきっかけでは、リファラルが多いのも特徴です。私の直下に12人くらいメンバーがいるうち、5~6人ほどはリファラル採用ですね。チーム全体のバランスを見た時に、どんな人材がいるべきか?という視点でも考えています。

大塚
それだけ口説けるのは凄いですね。

藤本
リファラルが良いのは、人となりがある程度分かることですよね。1社でずっと働くというのもあると思いますが、CS人材が流動化し、適材適所で働くというのが活発になれば、色々なサービスが良くなると思います。

 CS人材に求めるのはカルチャーフィットとコミュニケーション

安信
CSの交換留学というのはメルカリ山田さんとよく話をするんです。メルカリさんのオペレーターとエウレカのオペレーターを期間限定で交換してそれぞれのCSを知るだけでも確実に学びがあるはず、と。

藤本
確かにBtoCとBtoB向けのサポートであれば、考え方も当然変わってきます。交換留学をすることで目線が広くなるというのはあると思うので、あっても良いと思うんですけどね。

安信
もちろん個人情報の取扱いなど解決しなければならない問題はありますが、もし実現できたら楽しいなと思いますね。

大塚
採用をしていく中でCSの採用基準はどういった点を見ていらっしゃいますか?

安信
エウレカは、凄くカルチャーがとても独自性あるものなんですよね。どれだけ能力が高くてもカルチャーフィットすることが欠かせないと思っています。なので、そこを重点的に見ています。これはCSだけに限らず、他の職種でも同じことだと思います。

CS独自の観点では、コミュニケーションスキルを見ていますね。恋愛というサービスでのコミュニ―ケーション難易度は高い。正解がないなかで、「お悩みはありますか?」「こうしてみてはいかがでしょうか?」という、ユーザーの気持ちに寄り添ったコミュニケーションが理想形なので。

藤本
事実を伝えるだけではダメですもんね。

CtoCなので、正解が無いですよね。お互いが言っていることもお互いの立場であれば正しいから、そこへ割って入っていく難しさはありますよね。

 オペレーターを評価する明確なフィードバックとプレゼンタイム

大塚
明確な物があるわけではなく、お互いの関係性を提供するので難しいですね。そういう意味で言うとCSのKPIはあるものでしょうか?

安信
KPIはもちろんあります。それこそ平均レスポンスタイムや、モニタリングではユーザーが画像などを投稿してから承認するまでの平均プロセッシングタイム。あとはCSATやMPHなども見ていますね。

やっぱり恋愛ゆえに処理件数だけで見てしまうとCSATが悪くなってしまう。そもそも回答率が悪くなってしまうので、適宜アレンジしながら数字を追っています。

大塚
良い悪いの判断が非常に難しいですね。

藤本
オペレーター個人の評価というのは、どのような仕組みですか?

安信
全社的にクォーター毎にOKR(Objective and Key Result;目標と主な成果)を用いています。カスタマーケアでのOKRはCSATのみです。オペレーターの評価では、OKRを達成しているかどうかによってインセンティブも発生しています。

また、オペレーターの評価は細かく行っています。一般的な勤怠のほか、お問い合わせ内容にも難易度があるので、そのカテゴリーごとにどこまで対応できているのか。ユーザーからサンキューメールがどのくらい来たか。逆に不満はどうだったのか、などは細かく見ています。

藤本
パーセンテージだけではなく、実数も見ているということですか?

安信
見ています。細かく分析しているので、フィードバックはオペレーター自身にとっても明確だと思いますよ。昇給についても、10円単位で時給が上がる設計にしていますが、なぜ上がったのかという根拠も伝えるようにしていますね。

大塚
分かり易いことは大切ですよね。

安信
あとは評価面談のタイミングで、オペレーターからアピールしたいことについて、プレゼンテーションタイムも設定しています。希望したメンバーにはみんなで受けてどうだったかフィードバックも行っています。まだ始めたばかりの取組みですが、1~2割くらいのメンバーはプレゼンを希望しています。

藤本
クォーターのタイミングで「私は頑張りました」という資料も本人が作って発表するのですか?

安信
そうですね。

藤本
それ自体も面白いですね。LT(ライトニングトーク)の練習というか、プレゼンのスキルの勉強にもなりますね。その取り組みは初めて聞きました。

大塚
仕組みという話でいくと、仕組みを支えるためにはシステムも必要だと思います。CSを支える仕組みやシステムで言うと、どのような体制でやっていらっしゃるのでしょうか。

安信
Zendeskを使っています。

藤本
LINE@の導入などは考えたりしましたか?

安信
一時期LINE@を考えたこともありましたが、現時点で導入していない理由は、PairsユーザーがそれほどLINE@を求めていなかったからです。

というのも、SurveyMonkey(サーベイモンキー)でユーザーにアンケートを取っているのですが、質問項目の中に、「今あるメールとチャット以外に必要なサポートチャネルはありますか?」と聞くと、日本の場合は電話だけなんですよね。

大塚
でしたらまだ不要ですね。

 エウレカがユーザーの安心・安全に最も力を入れている理由

藤本
今のを聞いていると、どういう人が使っていて、何が求められているのか?がスタートであって、そのうえで色々と仕組みを作っているんですね。求めている人がいるならやったら良いということですね。

安信
そうですね。Pairsは日本・台湾・韓国の3ヵ国で展開していて、それぞれツールのニーズも異なります。

藤本
CSメンバーにおいても、国も違えば考え方もニーズも違うと思います。そこで気を付けているマネジメントはありますか?

安信
基本的には違いをつけません。評価基準なども、どのサービスをやっていたとしても同じもので評価をしていますね。

藤本
共通軸で見て、主観とか感覚ではなく同じ土俵で見ている。

安信
同じ土俵ですね。

大塚
これはサービスもですよね。

安信
そうです。

大塚
サービスが変われど、仕組みなども同じように出来るということですね。

安信
やっぱりグローバルでサービスを展開するにあたって、日本のCSが一番良いと思っているんですよ。なので、日本のCSが台湾にも韓国にも絶対に通用をして、それが良い意味で差別化に繋がるはず。そう思っているので、評価も変えませんし、考え方も変えないというイメージですね。

藤本
日本のCSのココが良いというのはどういった点ですか?

安信
Pairsに寄ってしまうのですが、弊社が安心・安全に力を入れるそもそもの理由は、日本にはいわゆる「出会い系」という言葉があったからなんです。「出会い系」があったがゆえに、オンラインデーティングサービスは違う言い方をしているけれども「結局は出会い系でしょ?」と一般の方々は思うんです。

でも実際は違うじゃないですか。

この違うというところを証明するべく、安心・安全を実現するためのテクノロジーやサポート体制に投資をしているんです。そして、それをそのまま台湾や韓国でも展開する方が差別化になる。

日本のように「出会い系」なんて言葉はそもそもないので、日本の厳しい環境で整備された、高い水準のサービスを展開することこそが安心に繋がると考えています。

藤本
「出会い系」というネガティブな状態を乗り越えてきたからこそ、それをそのまま外国に出せれば素晴らしいサポートの体制として出来上がる。

安信
プライベートで気軽に飲みに行って、横の席での会話から「この前、Pairsがさ」と聞こえてくるんですよ。とてもありがたいことであると同時に、まだまだ私たちが目指しているレベルには及んでいないので、ここからが勝負だと思っています。

ただ良くなってきていると思うのは、オフィスのエントランスに設置しているモニターで流しているカップルのインタビュー動画も、最初に声をかけた時は3組くらいしか来てくれなかったんです。

でも今では、何百組も来てくれるという点は圧倒的な違いです。変化を生んでいると思っています。

大塚
お客さんが出てくれるのは感謝している証拠ですからね。

安信
「結婚することになりました。結婚式でPairsのロゴを使いたいのでロゴを貸してください」という依頼も日々いただいています。

 業界最高水準のCSポジションを確立していきます!

大塚
それは凄いですね。安心・安全という言葉も出てきましたけど、これは最初から意識していたのでしょうか?

安信
私が入社した時からすでに、安心・安全という言葉を社内外で使っていたのですが、より意識し始めたのがちょうどその頃だったと思います。

藤本
そういう背景があって、安信さんが入られたのですね。それまでは安信さんのようなに専任の方はいらっしゃったんですか?

安信
担当者はいましたが、ゼロからカスタマーサポートを構築したことがある経験者はいなかったんですよ。

藤本
そこで安信さんが入り、24時間対応の完全インハウス化という大仕事をやり切った。

大塚
そうなると安信さんが入って、エウレカさん自体もだいぶ変わったということですよね。

安信
ユーザーへの意識とユーザーのサポートをするCSという職種への理解という2つの軸で見て、大きく変化したと思います。

藤本
以前CTOの金子さんにインタビューさせていただいたことがありましたが、その時に個人的に感じていたのは利益をどう出していくかをしっかりと考えている。
企業として当然そうなんですけども、逆にCSに力を入れるのは、その分だけ投資をしないといけないこととイコールだと思うんです。

CSに力を入れれば入れるほど、加速度的に投資をしないといけないとなると思うので、会社の文化として利益をしっかりと出そうという意識はありつつも、CSへ投資するというのはCSの重要性を大事にされているんだなと感じますね。

大塚
従業員数約130名のうち40名ほどがCSにいらっしゃるというのは、相当投資をされている証拠ですからね。
では最後になりますが、CSをこうしていきたい想いを教えてください。エウレカさん内でも、CS業界全体でもビジョン的なものがあればお願いできますか。

安信
私はメンバーに「オンラインデーティング業界最高水準のCSを目指す」ということをよく言っています。
業界を問わずCSチームを作る時に、「エウレカのようなCSを目指したい」と言ってもらえるような揺るぎないポジションをCS業界内で確立していきたいなと思っています。

 まとめ

今回お話を聞いていて感じたのは、CSはユーザーのために何ができるのか、どう役立てられるのかを常に考えて実行されているということ。CSの24時間対応に踏み切った理由も安心・安全に加えて、お問い合わせの多い時間帯に対応出来るように、などユーザー目線を常に持ち続けていると感じました。

だからこそユーザーへ呼び掛けた際にもたくさんの方に集まって頂くことが出来る。CSがユーザーとのタッチポイントに同行した際にもユーザーから感謝の声が聞こえたり、幸せそうな表情を見ることでCSの仕事の意義を肌で感じさせることも出来るのかなと感じます。

「CS業界最高水準のポジションを確立していきたい」

その想いはCS業界全体の発展にも繋がっていくのではないでしょうか。今後もCSから執行役員となられた安信さんの動向に注目していきたいと思います。

 

■大塚 真吾
プロサッカークラブのマネジメント職を経験後、ダイレクトマーケティング支援の株式会社ファインドスターに入社。サブスクリプション型の通販のマーケティングを100社以上支援。2013年、スタークス株式会社に入社し、2016年取締役に就任。現在、クラウド型の物流プラットフォーム「クラウドロジ」とLINE@に特化したCSツール「CScloud」を提供。

■藤本 大輔
1982年 福岡生まれ。テレマーケティング会社で電話営業を経験の後、コンタクトセンター運営会社に移り約10年間大手インターネットサービスプロバイダのコールセンターマネジメントに従事。その後、大手ソーシャルゲーム会社のCSを経て、フリマアプリ運営会社のCSグループマネージャーとしてチャットサポートの導入やCSイベントの開催を主導。現在はコードキャンプ株式会社のCSチームを率いる。本業の他に日本で唯一の「カスタマーサポート エバンジェリスト」として、コンサルタントやCSイベントの企画などで活動中。キャッチコピーは“CSに狂っている男”。

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