2018/11/13

【後編】顧客対応×LTVの科学がCSの価値を高める

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前編の記事では冨樫さんの経歴と合わせて、カスタマーサービスが経営数字に貢献するための数字管理についてお話をして頂きました。そのためには地道に可視化する必要があることや、正しく判断するためにはデータを揃える必要性なども分かりました。

PDCAを回しながら早く解決するため、データを取る必要性。そのためにはエンジニアと一緒に顧客対応を科学しながらコントロールしながら、カスタマーサービスで単価を上げることも重要だとお話をして頂きました。

後編の記事では、カスタマーサービスに携わりながらCCOとしての立場と役員として求められる役割。他社であるZendeskのコミュニティを立ち上げた理由。カスタマーサービスにマーケティング思考を取り入れることで得られる変化やカスタマーサービスの価値を高める方法などをお聞きしてきました。

プロフィール紹介
株式会社iCARE 執行役員CCO 冨樫 謙太郎
大学卒業後、コールセンターからキャリアスタート。
スーパーバイザー、グループスーパーバイザーとしてセンターの立ち上げやオペレーション改善に従事。
その後、株式会社エニグモやランサーズ株式会社などの事業会社でカスタマーサポート部門の責任者としてオペレーション改善、監視体制強化、NPSなどを用いた改善を行い事業成長に貢献。2018年4月に株式会社iCARE 執行役員CCO(チーフカスタマーオフィサー)に就任。
カスタマーサービスソフトウェアZendeskのユーザーコミュニティー立ち上げや、コールセンタージャパンが運営する「5年後のコンタクトセンター研究会」などに所属し、幅広く活躍中。

CCOとしての立場と役員として求められる役割

大塚
機械による科学と働く人の創造性、両方が必要ということですね。

そういう意味でいうと、これまでの数値化する。LTVに貢献をする。ということをiCAREで実現するために入られたと思います。iCAREでは役員として入られていますが、役割という意味でこれまでとは違うものなのでしょうか。

冨樫
全然違いますね。目線は全く変わりました。
他部署のことまで気にするようになりましたし、自分の中では部署の垣根は無くなったと感じています。

以前は「自分の部署をどうすれば良いか」という考えが強かったと思いますが、今はiCAREをどうしていくのか。それが一番で、行動もかなり変わったと思います。

大塚
冨樫さんのようにカスタマーサービス出身で、会社経営に関わりたいと考えている方も多くいると思います。具体的にどのような行動に変わったのでしょうか。

冨樫
一番分かりやすいのは、これまではカスタマーサービス担当者に話を聞いていましたが、経営者に話を聞くようになってきたというのは行動として明確に変わっていると思います。

あとはマーケティングや営業など他部署に任せるところは任せつつも、とても首を突っ込むようになりました。

大塚
それぞれの役割で、既存顧客に対してマーケティングやカスタマーサービス、営業など誰が価値提供をするかの違いという感覚ですよね。

冨樫
そうです。その考えが出来るようになったのと、マーケティングや営業との連携はとても重要だということ。どのように自分たちのプロダクトの価値をメッセージとして届けるのか。そのためのペルソナを全員で考えるようになりました。

他社であるZendeskのコミュニティーを立ち上げた熱い想い

大塚
ありがとうございます。

少し話が変わりますが、Zendeskのコミュニティを立ち上げられたということですが、どのような思いから立ち上げたのでしょうか。

冨樫
Zendeskを使い始めた2013年当時は、Zendeskを使いこなしている会社はカスタマーサービスに力を入れている会社という感覚がありました。そのような会社がどのようなKPIやKGIなどを見ているのか知りたくて、Zendeskさんの担当者に「Zendeskを使いこなしている会社のカスタマーサービス担当者を紹介してください」ということで話を聞きに行っていました。

海外なら日本よりもイケてるカスタマーサービスなのではないかと思い、海外のカスタマーサービス担当者も紹介して頂きました。Zendeskの社長に直談判をして、Zendeskのイベントに参加させて頂きました。

そこで知ったのが、Zendesk全体・全世界でリアルコミュニティがないんですね。世界であれだけ売れているZendeskのリアルコミュニティがないので、

・日本でコミュニティーを作る
・日本のユーザーがZendeskを使いこなす
・日本でもっと必要な機能の声を集める

これらを発信して改善してもらうことが実現できれば、Zendeskの機能が良くなることになります。
Zendeskの機能が良くなるというのが何を意味しているのか。それは我々カスタマーサービスの質が向上することになります。そうすれば日本全体のカスタマーサービスの質が上がるということにも繋がります。

こうなったら痺れますよね。日本全体のカスタマーサービスの質が向上することに一役買えることに関われたとしたら、とても光栄なことです

大塚
なるほど、立ち上げた理由はそこにあるのですね。

冨樫
そうなんです。Zendeskと一緒にタッグを組んで機能開発をしていけば

✅ カスタマーサービス全てのレベルが上がり
✅ カスタマーサービスの価値やバリューが上がり
✅ より良い顧客サービスが出来るようになり
✅ より日本の接客サービスが良くなっていく

それが自分の中で見えたからZendeskのコミュニティーをやっています。

プロダクトを押し上げれば日本のカスタマーサービスが向上する。コミュニティーで優良顧客の人たちが「こうした方が良い」と言っていればZendeskも聞いてくれそうじゃないですか。

今まではプロダクト側の方が「こうした方が良い」という意思が強かったと思います。ただこれからは、自分たちから「こうした方が良い」と話をして改善して頂くということに価値があると感じていますし、そこまで行きたいと考えています。

大塚
どちらか一方だけではダメで、両方がぶつかり合うと良いですよね。

冨樫
そうですね。

藤本
少しお聞きしたのは、Zendeskの話を聞きに海外へ行った時に、みんな英語が話せないと話をしている中で一人だけ個別に通訳を付けていたと聞きました。

冨樫
(笑)

藤本
確かに通訳を付けた方が話は聞き易いですが、思いついても中々そこまではやらないですよ(笑)素晴らしい行動力ですね。

冨樫
多分どうやったら自分たちの仕事がより良くなるのかに飢えているのだと思います。

CSにマーケティング思考を取り入れることで得られる変化

大塚
これまでお話を聞いていると、冨樫さんの行動力や突破力は凄いなと思います。カスタマーサービスでそのような動きが出来る方は珍しいですよね。
カスタマーサービスで働く方々がより良くなるために、何か思うことはありますでしょうか。

冨樫
やはりPDCAを回すクセは付けた方が良いと思っています。自分がやっていることをしっかりと構造化して、成果として見せていくことをみんなやっていないんです。

例えばチャット対応をしていても、みんな単純に対応をしているだけ。対応件数だけで「今日は頑張った」ということも多いと思います。

対応件数もそうですが「満足度がどうだったのか」や「コンバージョンがどのくらい発生していたのか」などのマーケティング的な思考を持って業務に取り組むことも重要ですよね。日本のカスタマーサービスはこれまでコストカットの構造でしたが、今の起業家はカスタマーサービスをコストカットとしては見ておらず、利益貢献やビジョン・ミッションの実現のための重要な一部署だと捉えています。

日々どのくらい自分の対応でコンバージョンが発生しているのか。これを数値化して分かるようにすることで、自分の顧客対応への考えが変わってくるんです。

例えば顧客対応において「これを伝えると必ず不満が出る」というような王道がありますよね。それを自分で把握して「この案内をすれば不満が付きにくい」というのを毎回自分で考えながら毎日数字を追うことも必要ではないかと思います。

藤本
それは大事ですよね。

冨樫さんのように、どのような対応であればどうなるという仮説と検証。まさしくPDCAを一つずつ回していくと、自分の成長にもなりますよね。その結果、会社も伸びてスケールしていくなど良い面しかないと思います。

今後はCSが検証することで価値を高めていく

大塚
最後に冨樫さんから見たカスタマーサービスの未来予測をお聞き出来ますでしょうか。

冨樫
チャットボットが出来たことで、逆に人の価値が上がったなと思っています。カスタマーサービスの職種がとても重要であることや、人が介在することの価値が凄く上がったと思っています。

そのため、より人が大切になっていくからカスタマーサービスはこれから、もっと盛り上がっていくだろうと思っています。その時に重要なのが、検証をしないと本当に意味がないということです。

大塚
やはり検証が重要だということですね。

冨樫
今後は検証がしっかり出来ないと、どの会社でも認められなくなる。どの会社のどの部門も、今は検証しながら価値を高めています。カスタマーサービスもそれは出来るはずですし、その先に顧客対応を科学したり、どのような対応をしたらどうなっていくのか。それが分かれば、この仕事はもっと面白くなっていくし魅力あるものになっていくと思います。

あとはCCOは日本にはまだあまりいないので、自分が上手くiCAREで結果を出して、今いるカスタマーサービスの人がこの職種に就いてもらえたら良いなと思います。

まとめ

数値を全てデータ化しておくことが重要だということ。そしてデータが揃っていることで、施策全てに対しての検証が出来る、施策の効果や価値が出せるようになるとお話をして頂きました。

数値にしておくことでCSのオペレータの教育も上長の経験だけではなく、論理的にオペレーターへフィードバックが出来たり、オペレーター自身がPDCAを回したり、オペレーター自身がコンバージョンを上げる取り組みも出来るようになる。エンジニアともCSが数字を見ながら、CSが単価を上げる顧客対応の取り組みや設計なども可能になります。

Zendeskのコミュニティを立ち上げた理由も、日本のCSをより良くしたという強い想いからの行動ということも教えて頂きました。

今回のインタビューで、冨樫さんの言動の全てはCSの価値を高めるためのものであるという印象をとても受けました。顧客対応を科学し、CSの価値を高めていく取り組みを今後も注目していきたいと思います。

 

■大塚 真吾
プロサッカークラブのマネジメント職を経験後、ダイレクトマーケティング支援の株式会社ファインドスターに入社。
サブスクリプション型の通販のマーケティングを100社以上支援。2013年、スタークス株式会社に入社し、2016年取締役に就任。
現在、クラウド型の物流プラットフォーム「クラウドロジ」とLINE@に特化したCSツール「CScloud」を提供。

■藤本 大輔
1982年 福岡生まれ。テレマーケティング会社で電話営業を経験の後、コンタクトセンター運営会社に移り約10年間大手インターネットサービスプロバイダのコールセンターマネジメントに従事。その後、大手ソーシャルゲーム会社のCSを経て、フリマアプリ運営会社のCSグループマネージャーとしてチャットサポートの導入やCSイベントの開催を主導。現在はコードキャンプ株式会社のCSチームを率いる。本業の他に日本で唯一の「カスタマーサポート エバンジェリスト」として、コンサルタントやCSイベントの企画などで活動中。キャッチコピーは“CSに狂っている男”。

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