2018/05/16

【後編】サービスの持つ価値や世界観を正しく伝えていくCSの実現〜スペースマーケット「西村高史」の熱い想い〜

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前編の記事ではスペースマーケットのCSの考え方や役割、メンバーへアドバイスする時の指針や判断基準。CSが他部門と情報共有をする理由や、メンバー全員が広い視点を持つための関わり方の他に、お客様との向き合い方などをお伺いしました。

今回の記事では、CSが自身の天職だと語るCSへの想いや、CSに求められること。CS成功の秘訣。スペースマーケットのCSがスタンダードになるためのご自身の取り組みなどをお話し頂きました。

自分たちのCSが今後業界のスタンダードになるという意識

大塚
スペースマーケットのCSは最初から今のマインドだったのですか?

西村
そうですね。シェアリングエコノミーという業界は、これからの時代のサービスという側面もあるので、まだサービスのスタンダードがないんです。

だから、C to Cにおいて自分達が行うサービスがスタンダードになっていくという意識があるので、CSをきちんとやっていかなければいけないという考えが元々ありました。その中で自分がさらにCSの価値を生み出してきた感じですね。

大塚
C to Cというまだ広く認知されていない領域だから、自分達だけが得すれば良いのではなく、社会に貢献するためにCSに力を入れるという意識ということですね。

西村
そうですね。それはCSのメンバーにも意識してもらってます。

藤本
立ち上げ期は仕事をこなすだけになりがちですが、そこまで意識されるというのはすごいですね。

西村
200~300人規模のコールセンターを見てきたので、今の段階からやっておかないと後からはできないことをイメージできるからでしょうかね。

初代「CSに狂っている男」の原点

藤本
僕は「CSに狂っている男」と呼ばれていますが(笑)西村さんも相当CSが好きですよね。

西村
たぶん僕は藤本さんより先にCSに狂ってますよ(笑)

藤本
むしろ西村さんが元祖ですかね(笑)?

CSの話というとシステムや仕組みの話をされる方が多いので、西村さんは会社のビジョンまで話されていて驚きました。そもそもなんで今の考え方になったのですか?

西村
僕は元々エンジニアなんです。コツコツとモノ作りするのが好きで、性に合っていると思っていました。ただ、新人教育やクライアント先への出向をする中で、モノ作りだけでなく、その先にある、作ったモノを使ってもらうことに関心があることに気づきました。

すると、作ったモノを使ってもらいやすくするためのサポートをする方が楽しくなってきました。それがCSを始めるきっかけでしたね。今から十数年前なのですが、当時はCSは世間にはそんなに認知されてませんでした。それでも、CSこそが自分のやりたいことだと思ったので一大決心してキャリアチェンジしました。

そこからCSの仕事をしているのですが、一度も「嫌だ」と思ったことがないんです。エンジニア時代は嫌なことも多少あったのですが、この仕事についてからは思わなくなりましたね。「サービスのここを良くするにはどうすればいいんだろう?」ということは常に考えていて、CSは自分にとって天職だと思っています。

根底にあるのは、困っている人を助けたいといった想いでしょうか。仕事に意義を感じていますし、サポートするなら商品・サービスのことを好きになって欲しいと思っています。

藤本
仕事が好きでないと、どれだけマニュアルに書いてあっても良い対応はしないですよね。働いてて楽しいと思うことが、良い対応に繋がるのでしょうね。

西村
CSは好きでないと勤まらないと思います。

 本当のCSがロボットにはできない理由

大塚
CSに向いている人というのはあるのでしょうか?

西村
1つだけあげるとするなら、カスタマージャーニーマップをきちんと描けるということですね。自分達の行動、伝えることで、ユーザーのその後が大きく変わってきます。サービスを好きになるのか、嫌いになるのか、使い続けてもらえるのか、やめてしまうのか、を左右します。

スペースマーケットを利用する方の背景には、様々な経緯があります。それぞれの場面でしっかりとカスタマージャーニーマップを描くことで、自分が今から伝えることがどういった影響を与えるのか、最終的にどこに至るのか、を描けることが求められます。

藤本
サポートというと「点」で見られがちですよね。
例えば、問い合わせメールに対して決まった通りに返信するのと、問い合わせしてきた人の背景を想像した上で、何を伝えることでどういった影響を与えるのか?までを考えて返信するのとでは、その後が大きく変わってきます。

なので、しっかりと人と人のやり取りであることを意識できる人が向いていると思います。

大塚
なるほど。

西村
CSというのは技術的な面だけでは収まらないと思うんです。サポートするというのはそんなに簡単ではないからです。ただ単純に問い合わせに返答するのは簡単ですが、ユーザーが問題が起きてから問い合わせをするまでにどんなことがあったのか?までを考えて返答するのは非常に難しい。問題が起きてすぐに問い合わせしたのか、問題が起きてから数日経っているのか、それまでにも問題はあったのか、いろいろな要素が考えられます。そこを踏まえた上で返答するのが大切ですね。ただ聞かれたことに答えるだけならロボットにもできますから。

藤本
「点」ではなく、「面」で捉えていくことが大切ですね。

 CSが力を発揮するには会社の投資が不可欠

西村
とはいっても、問い合わせが大量に来ると、どうしてもその場をこなすことに意識が向いて、ユーザーの背景まで考えることができなくなってしまいます。だから、マネジメント側はオペレーションをしっかりと考えて、対応する人がカスタマージャーニーマップを描ける環境を用意する必要もあります

藤本
CSに予算がないと、どうしても人手不足に陥って、負荷が大きくなり広い視野で考えることができなくなってしまいます。その点スペースマーケットさんはしっかりとCSに力を入れておられるので、その影響も大きいのでしょうね。

大塚
そこは経営者が投資すると決めてやっていくしかない気がします。すぐに数字の変化がなくても長期的な視点で見るしかないですよね。

西村
それが決して簡単ではないこともわかっています。だからしっかりマネジメントとして成果面でもすごく気をつけています。

大塚
CSの方が役員に入られるとまた変わってくるのでしょうね。

藤本
そうですね。大きな企業だとマーケティングの部署にCSの方が入ったりしますね。また、カスタマー・サポート・オフィサーといった役職も増えています。C to Cはサポートが大切なので、どんどん増えていっても良いと思います。

西村
サポートは信頼性を図る上でも大切ですし、競合との差別化も測れます。他社のサポートが良いから自社も頑張ろう!といった感じで競争してくれると業界が良くなると思います。そういったところでも協力したいなと思います。

藤本
僕も「CSの何が良いのか?」と聞かれると、「CSは世界を変えるから」と答えます。

どこかで良い体験をしたら、それを自社でも取り入れたくなると思います。それがどんどん広がっていく力になるのがCSだと思います。満足を感じる点も一人ひとり異なるように、人の心は難しいので、その分やりがいのある仕事ですね。

 CS成功の秘訣はテクニックではなくマインド

大塚
ところで、スペースマーケットのCSを支えるシステムはどうされていますか?

西村
メインのツールとしてはZendeskを使っています。それ以外で言えば、他部署との連携はSlack・Trello、ノウハウを貯めるためにConfluence 、社内のコミュニケーションとしてWorkplaceを使っています。何か特別なツールを使ったり、何か変わったことをやっているわけではないですね。

藤本
僕もよくCSの手法を聞かれるのですが、特にそんなに変わったことはやってないんですよね。

西村
みんな手法を知りたがるんですが、手法は画一化されてますし、困っているポイントは同じなんです。「問い合わせが減らない、時間が縮まらない」等で困っているのですが、実はそれは大した問題ではないんです。

むしろチームビルディングや個人のマインドに気をつけていれば、数字は後からついてきますし、メンバーが主体的に問題を解決してくれます。最終的には「どういった人をCSに入れるか」ですね。

 スペースマーケットで理想のCSを実現し、行動でCSを変えていく

藤本
CSはブレずに、本質を掴まなければならないですよね。例えば、クレームが全て正しいかと言えばそうでもないので、そこはCSが取捨選択してサービスの軸がブレないようにすることが大切になってきます。そういう意味でCSはかなり重要なポジションだと思います。

西村
本来どの部門も同じ立ち位置にあるはずなのに、売上の数字に直結するところが優遇されがちですね。スペースマーケットは部門に関係なく常にフラットなので上下関係がないんです。

大塚
ジョブローテーションをやったりもするのでしょうか?

西村
営業からCSに来た事例はありますね。

大塚
営業もカスタマーに貢献するという意識が大切なので、価値観が同じかもしれないですね。

ちなみに、CSの今後について他社の方と語り合ったりしますか?

西村
CSをどうしていきたいか?はあまり語ったことはないですね。

人を巻き込んでどうこうしていくというより、自分の行動で解決していくことを意識しています。今の会社の中でCSの理想形を実現して、見せていくといった感じです。

コミュニティー作りは大切ですが、そこで得られたことを実際にやるのか?というと別の話です。僕はとにかく実現していくことが大切だと思います。まずはスペースマーケットの中で実現していって、CSとスペースマーケットをリンクさせる。それからCSを変えていかなければいけないのかなと思います。

藤本
そうやってスペースマーケットさんが大きくなれば、スペースマーケットさんのCSがスタンダードになるということも考えられますよね。

西村さんがCSについて熱く語っておられるのを聞くと、すごくシンパシーを感じました!

大塚
こういった企業が増えると、カスタマー側も普段の生活が楽しくなりそうですね。

西村さん、本日はありがとうございました!

 まとめ

今回西村さんからお話を聞いて、スペースマーケットのCSの背景には、西村さんのCSへの熱い想いがあることがヒシヒシと伝わってきました。

C to Cのやり取りではサービス利用の背景もパーソナルになります。パーソナルな部分の問題を解決することは個人の人生をサポートするという考え方と、C to Cにおいて今後自分達が行うサービスが業界のスタンダードになるという意識からは、社会への責任感を感じとれました。

CSというと不満への対応、及び社内への共有という役割のイメージもありましたが、カスタマーにサービスの持つ価値や世界観を正しく理解してもらうのもCSの役割であることを学ぶことができました。

また、スペースマーケットのCSメンバーは、あえて未経験者を採用して多様な価値観を取り入れているとのことでした。そうすることでCSに全く新しいカルチャーを作ることができ、固定観念にとらわれずに自分たちのカスタマーにとって最適なサポートを作っていく、という考えを実現しているのでしょう。

まだまだ日本では、C to Cサービスは発展途上の段階です。今後、スペースマーケットさんがますます大きくなっていくなかで、CSのスタンダードもできてくることを考えると、とてもワクワクしました。そして、CS自体が大きく変わり、西村さんのように、CSの仕事が大好きな人が出てくる社会になればと良いなと思います。

 

■大塚 真吾
プロサッカークラブのマネジメント職を経験後、ダイレクトマーケティング支援の株式会社ファインドスターに入社。サブスクリプション型の通販のマーケティングを100社以上支援。2013年、スタークス株式会社に入社し、2016年取締役に就任。現在、クラウド型の物流プラットフォーム「クラウドロジ」とLINE@に特化したCSツール「CScloud」を提供。

■藤本 大輔
1982年 福岡生まれ。テレマーケティング会社で電話営業を経験の後、コンタクトセンター運営会社に移り約10年間大手インターネットサービスプロバイダのコールセンターマネジメントに従事。その後、大手ソーシャルゲーム会社のCSを経て、フリマアプリ運営会社のCSグループマネージャーとしてチャットサポートの導入やCSイベントの開催を主導。現在はコードキャンプ株式会社のCSチームを率いる。本業の他に日本で唯一の「カスタマーサポート エバンジェリスト」として、コンサルタントやCSイベントの企画などで活動中。キャッチコピーは“CSに狂っている男”。

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