デジタル化時代のタマチャンショップのブランディング戦略。〜LINEで24時間お客様とつながる〜

今回、導入企業インタビューをさせて頂いたのは、楽天市場のショップ・オブ・ザ・イヤーを6年連続で受賞した経歴を持つタマチャンショップを運営している、有限会社九南サービスのEC責任者の田中さんにお話を伺いました。

もし、タマチャンショップの”ブランディング”に興味がありましたら、ぜひご覧ください。

インタビューではEC事業をスタートしたきっかけから、事業撤退をも覚悟して挑んだリブランディング、そして現在も注目を集めているブランディング力を支える徹底したこだわりについて伺うことができました。

本インタビューをご覧いただくことで、コロナ禍の影響で急速にデジタル化が進む今後のブランディングについて田中さんが目指す理想像と、その実現に向けたブランディング戦略、そしてLINE活用法について知ることができます。

撤退も考えていたEC。
転機はブランディングとの出会い。

ECを始めたきっかけを教えてください。

元々は椎茸の生産や店舗販売をしていて、もっとネットで自分たちの国産椎茸をはじめ、本当に良い商品を全国に発信したいという思いからスタートしました。

最初はパソコンを触ったことが無かったので1ページ更新するのも一苦労する日々でした。本を読んで勉強しながらなんとかやってましたね。正直なところ最初は、ネットショップって『パソコン一つで出来る華やかな世界』だと思ってたんです。

でも実際にやってみると全然違いました。当時は写真撮りも素人で、HTMLもわからない、スキルがまったく追いついてない状態です。『こんなに難しくて地道な世界なのか』と、やってみて思い知りましたね。

 

EC事業を15年以上経営してきて、転機はありましたか?

EC事業をスタートして3~4年(2008年〜2009年頃)ぐらいですかね。競合も現れ、価格競争になりました。新商品を出せば真似されるし、値下げ合戦状態で苦しい時期でした。蓋を開ければ利益がでないなんて時もありましたね。売れてる時はまだ良いんですが、当時は漠然とした焦りを感じていて「毎日焦りながらネットショップをやっていくことが楽しいんだろうか」そんな思いが強くなりました。

ですが、あるデザイナーとの出会いを機に大きく変わりはじめました。

そのデザイナーさんに、自分たちの思いをすべて話し、「本当に自分たちがやりたいことをやるだけやって、だめだったら撤退しよう」そんな覚悟で一緒にタマチャンショップのリブランディングに取りかかったんです。

 

どんなことをされたのですか?

「自分たちがどういう会社なのか?」「なぜ、この商品を販売しているのか?」「我々は何屋さんなのか?」自分たちの理念やビジョンをコンセプトとして商品ページからパッケージまで、全てのデザインにこだわりました。

そこから1〜2年ぐらいですかね。一気にタマチャンショップらしさが出来上がり、お客様にも浸透しはじめ、劇的に変化しました。

 

タマチャンショップ楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー受賞歴(https://www.rakuten.ne.jp/gold/kyunan/soy2017.html)

LP1つ完成させるのに、
6ヶ月以上かける徹底したこだわり

どんな理念で経営されていますか?

「日本のお母ちゃんになりたい」というコンセプトを掲げているんですけど、母親が子供に与える食事って絶対的だと思っていて、体に悪いものとか入っていない安心感があるじゃないですか。なので我々も「タマチャンショップだったら間違いないよね」と言ってもらえるような商品作りや情報提供をすることを徹底しています。

出典:タマチャンショップ公式サイトより(https://tamachanshop.jp/about/)

何かエピソードがあれば教えていただけませんか。

作るところから届けるまでが全部デザインという精神を徹底しています。発送のダンボールから同梱物まで、全てタマチャンショップのカラーにしてます。今もその精神は大切にしていて、毎年ブラッシュアップしてますね。自分でも自社の商品を発注してチェックしますし、デザインをつくる際のトンマナも徹底してます。

例えば、SNSのアップの仕方一つとっても「これはタマチャンっぽくないよね」という理由で修正しますし、逆にデザインが良くても利便性が悪ければ修正します。なので、マーケターがデザインのことを理解しないといけないですし、デザイナーもマーケのことを考えないといけないので、周りからはタマチャン道場と言われてますね。(笑)

注力して作る新商品は、商品設計からデザインまで1年かけて企画します。それこそLP作成だけでも6ヶ月以上かけたりします。僕の中で決めているルールがあります。それは、デザイナーは焦らせないこと。もしデザインが遅れるのであれば販売時期のスケジュールをずらしますね。

 

構想から開発まで535日という長い歳月かけようやく完成した商品 (出典:https://tamachanshop.jp/online/201911/14595

 

LINEはE-mailのCTRが10倍以上!

なぜ、LINEを活用し始めたのですか?

4年ぐらい前ですかね、スマホの普及に応じてメルマガの開封率が如実に下がりはじめました。メルマガから同梱物まで様々な形で、僕らの思いを伝えることを大事にしているのですが、徐々に伝わりづらくなっていることを感じていました。そこで、E-mailとLINEで配信テストを行ったのですが、結果はCTRが10倍ぐらいLINEの方が良かったんですこれを機に積極的にLINEを使って顧客との接点を増やしていこうと考えはじめました。

すごい!EC業界で日本トップクラスに配信数が多いのはそういう背景なんですね。E-mailとの違いは何か感じますか?

メルマガは長いコンテンツでも読まれるのに対して、スマホに来るLINEメッセージは0.5秒ぐらいで興味があるコンテンツか判断されていると思ってます。

なので、なるべくスマホの画像で接点をつくり、その後ブログに飛べるような流れを作っています。ブログに飛んでもらうことで他のブログ記事も読んでもらい、ファンづくりをし易い環境をつくってます。このブログも3年ぐらいまえから力をいれてやってきました。

※LINEと公式ブログの回遊イメージ図(スタークス作成)

LINE運用では、コンテンツとセールスの割合をどうされているのですか?

運用をはじめた頃は、「タマチャンを伝える」ことを徹底しようと思ってコンテンツを作成していました。特に最近はコンテンツにセールス要素を入れると、お客様にバレる時代だと思っています。なので、タマチャンを伝えることだけに集中した方が、我々としても正直な気持ちで取り組みやすいと思ってます。我々のコンテンツを見て、気になった人がいれば公式サイトに飛んで買ってもらえれば良いという気持ちで作成していますね。

ただ、今はコンテンツ要素とセールス要素は1:1ぐらいにしています。というのも、良質なコンテンツだけを送り続けていても、「商品購入の背中は押してくれないんかい!」って気持ちにもなる気がしていて、、、なので今はセールスとコンテンツを半々で配信していますね。

LINEの特徴を活かせる体制・仕組みでなかった

LINE運用していく中で、何か課題はありましたか?

今おこなっているE-mailでの問い合わせ対応を全てLINEに移したかったんですが、人的リソースの問題でLINEの問い合わせ窓口をつくることができていませんでした。

E-mailでの顧客対応だと、どんな課題があるのですか?

どうしてもメールでのやり取りの場合、返信するまでに時間がかかるのでお客様とのやり取りにタイムラグが生じます。その間にお客様の気持ちが大きくなっていき、火がついてしまうケースもあるので、出来る限りこのタイムラグはなくしたいと思ってます。

特に、配送のお荷物番号とかは自動化したいと思っています。例えば、お届け日についてメールで相談をして、返信を待っている間に荷物が届いてしまったというケースなどは、まさに典型例だと思います。小さいことなのに連絡が取れないことがあると、お客様の不満は高まってしまいますよね。

顧客対応面について、どんな状態になったら良いとお考えでしたか?

メールや電話で問い合わせるまでもない、でも「すぐ知りたい簡単な質問」ってたくさんあるじゃないですか?たとえば電話の問い合わせにしても、「なんでこんな簡単な質問なのにこんなに待たされなければならないの?」というような不満も発生すると思います。きっとこういう不満ってサイトを少し調べるような内容だとおもうんですけど、そんな簡単な問い合わせを自動で案内出来るような仕組みが作れると良いと思ってます。全部が全部人が対応するのではなく、スタッフでなければ対応できないような商品の相談などに人のリソースを使えるようにしたいと思っています。

リピートライン導入の理由は、
やりたかった事が実現でき、理想的だったから

いくつかLINEサービスがある中で、なぜリピートラインを導入頂いたのですか?

一つは定期購入商品の購入後のアフターフォローをLINEのステップ配信を利用して行うことができること。もう一つはタマチャンショップの総合窓口をLINEにしたいと考えているので、それが実現に向けて取り組めるところですね。

どんな事を実現されたいか。教えていただけますか?

タマチャンショップの場合、幾つも商品があるので一つの商品だけを使って頂くというよりも、色んな商品と組み合わせて使って欲しいと思っています。リピートラインであればLINEのステップ配信をつかってクロスセルの提案をできます。また、我々の思いを伝え切れず、解約するお客様もいるので、そういった方にステップ配信でタマチャンショップを伝えることをやりたいと思っています。

※LINEでのステップ配信のイメージ図(スタークス作成)

 

そして、今後はタマチャンショップの総合窓口をLINEに一本化したいと考えています。自然食品の場合、こだわりの強いお客様も多いので、そういったお客様に商品をちゃんと説明できるように人のリソースは使って、配送などのデータを調べて調査できることはできる限り自動で人のリソースを使わず24時間対応し、総合のお問い合わせを一本化していきたいと思っております。

※総合窓口をLINEに一本化するイメージ図(スタークス作成)

導入いただいてどんな変化を感じていますか?

まだ導入して間もない状況ですが、早くも定期購入商品についてはアフターフォローとクロスセルをPRできる仕組みがすでにできています。
次は、新たに開発頂いている機能をリリースしながら、LINEによる窓口の一本化に向けて一緒に取り組んで行ければと考えています。

アフターデジタルにおける
タマチャンショップの戦略

今後、タマチャンショップはどんな展開をしていくのですか?

タマチャンショップからの発信だけではなく、お客様の声を取り入れて一緒にブランドを作り上げていくことを大事にしたいと考えています、そのためにもLINEやSNSに力を入れていきたいです。

なぜ、SNSに力を入れるのですか?

お客様がものを買う一番の判断材料や信頼って口コミだと思うんです。今までは企業がブランドを発信してきましたけど、これからはお客様と一緒にブランドを作っていく時代になると感じてます。なので、お客様の言葉一つ一つがタマチャンショップを作り上げていると思ってますし、SNSで発信しているお客さんの声を公式ショップでコメントしてあげることで、「良くご存知で!」「皆さんの発信を見ていますよ!」とお客様の発信を率先して認めてあげることがとても大事だと感じています。そして、情報のやり取りが双方向になることでお客さんと共に「幸せ食」という世界を作っていきたいと思ってます。

LINEはどんな役割を果たしますか?

今後、デジタル化していく中で一番のキーワードは「お客様と24時間つながっていること」だと思っています。そして、最もお客様が使いやすいツールがLINEだと考えています。

InstagramやTwitterなど他のSNSはお客様自身の世界観を伝える場所なので、皆に見せている、見られている場だと思うんです。でもLINEは1対1の関係であり、パーソナル空間なので「ありがとう!」みたいな気軽な、普段の会話と同じようなやり取りができると考えています。

タマチャンショップ様お客様のInstagram投稿 (出典:https://tamachanshop.jp/online/

スタークスに期待するのは、
LINE×定期に関するアドバイス

今後スタークスに期待するのはどんなことですか?

我々は自然食品の販売からスタートしていて、まだまだ定期購入商品の販売については知識やノウハウが足りていないところがあると思ってます。また、オンラインだけではなくオフラインの店舗もあるので、定期購入商品から他の商品をクロスセルするかだったり、オフラインとオンラインをLINEでどうつなげていくかだったり、LINEをフル活用するためのアドバイスを今後もいただけると嬉しいと思っています。

最後に一言お願いします。

今後は店舗からだけの発信をやめて、タマチャンショップをお客様と一緒に作っていきたいと考えています。色々ないいアイディアを持ったお客様からの声が今もたくさん集まっているので、それこそLINEのアンケートを使いながら、そういったお客様を巻き込んで、一緒にタマチャンショップを作りたいと思ってます。お客様も店舗スタッフの一員みたいな関係性になれば、今までのタマチャンショップの取り組みよりも、もっとパワーが出るんじゃないかなと思っています。食というものは、今とても大事な時期にあると思うので、食に対する意識をお客様と一丸となって高めて行きたいと考えています。

本日はありがとうございました!

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